続けるか乗り換えるか、何を基準に決める?

基準は、サイトの良し悪しではありません。お店の使い方に、WordPress の仕組みが合っているかです。次の 5 つの問いで決められます。

  1. 今の状態を、自分で確かめられるか
  2. ブログを頻繁に書く、または予約や EC のプラグインを使っているか
  3. 管理してくれる人がいて、連絡がつくか
  4. サイトの更新は、料金と営業日くらいか
  5. ログインや更新の通知が、負担になっているか

先に言っておくと、WordPress は悪い道具ではありません。合っている店は、そのまま続けるのが一番です。

続けるか乗り換えるかの分かれ道。ブログや予約・EC、管理する人、更新の中身の三つの問いに、はい・いいえで答える図
図 1 「続ける」と「乗り換える」の分かれ道。上から順に答えます。

まず、今の状態を確かめるには?

続けるにも乗り換えるにも、先に確かめることがあります。ここが分からないと、どちらを選んでも進めません。

確かめること見る所分かると何ができるか
管理画面にログインできるか自分の ID とパスワードで入れるか。試す入れれば、PHP の版や更新の状況を自分で見られます
管理画面の名義ユーザーの一覧に、自分の名前と、今も受け取れるメールがあるか管理者が自分なら、人に頼らず動けます
サーバーの名義サーバーの契約書や請求のメールの宛名名義が自分なら、サーバー会社に直接問い合わせられます
ドメインの名義ドメインを買った会社の契約の宛名名義が自分なら、サイトを作り直しても住所(URL)を残せます
PHP の版管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」→「サーバー」期限までの余裕が分かります(次の項)

PHP の版の見方は、WordPress.org「Update PHP」に書かれている手順です。同じ文書は、版が 8.3 以上なら今すぐ上げる必要はない、とも書いています。

制作会社と連絡がつかなくても、サーバーとドメインの名義が自分なら、次の手があります。名義が制作会社や知人の場合は、先にそこを確かめてください。これは公式の文書にある話ではなく、手順を考えたときの順番です。

PHP の版は、いつまで修正が出る?

PHP は、WordPress を動かしているプログラムです。版ごとに、修正が出る期限が決まっています。php.net の日付は次のとおりです。

PHP 8.1 から 8.5 までのサポート期限の時間軸。8.1 は 2025 年に終了、8.2 のセキュリティ修正は 2026 年 12 月 31 日まで
図 2 PHP の版ごとのサポート期限(php.net、2026-11-03 に確認)。8.5 の最初の公開は 2025-11-20。
  • PHP 8.1 は、2025-12-31 でサポートが終わっています。
  • PHP 8.2 は、2026-12-31 まで重大なセキュリティの修正だけが出ます。
  • PHP 8.3 は 2027-12-31、8.4 は 2028-12-31、8.5 は 2029-12-31 までです。

ここで大事なのは、「サイトが止まる日」ではなく「修正が出なくなる日」だということです。期限が過ぎても、すぐ表示できなくなるとは書かれていません。ただ、新しく見つかった問題が直されなくなります。

WordPress.org の動作環境のページは、PHP 8.3 以上を推奨しています。8.2 以下を使っているなら、サーバー会社の案内を確かめておくと安心です。

WordPress のまま続けたほうが合うのは、どんな店?

次のどれかに当てはまるなら、乗り換えずに続けるほうが合っています。

  • ブログやお知らせを頻繁に書く店。記事を足していく使い方は、WordPress の得意な所です。
  • 予約や EC のプラグインを使っている店。予約や注文を受ける仕組みは、静的なページだけでは同じようにできません。乗り換えの範囲の外になります。
  • 管理してくれる人がいて、連絡がつく店。更新やバックアップを任せられているなら、店主の負担は小さいままです。

このうち 1 つでも当てはまるなら、次の「安全に保つ方法」の節へ進んでください。乗り換えの話は、急がなくてよいです。

乗り換えのほうが合うのは、どんな店?

次のような店は、静的なサイトが合います。静的なサイトとは、ページを前もって作っておき、そのまま渡す形のことです。

  • 更新するのは、料金と営業日くらい。記事を足し続けることはほとんどない。
  • ページ数が少ない。トップと、数枚のページで足りる。
  • ログインや更新の通知が負担。通知が出るたびに落ち着かない。自分で直せない。
WordPress は表示のたびに PHP がページを組み立て、静的なサイトは完成したページのファイルをそのまま届ける、という仕組みの違い
図 3 WordPress と静的なサイトの仕組みの違い(簡略化した図です)。

WordPress は、お客さんが開くたびに、データベースからページを組み立てる作りです。そのぶん、本体・テーマ・プラグイン・PHP が更新の対象になります。静的なサイトは、完成したページのファイルを置くだけです。動かすプログラムが無いので、更新する部品がありません。

代わりに、静的なサイトはブログを書き足していく使い方には向きません。ここは、はっきり分かれる所です。

乗り換えるとき、何に気を付ける?

中身は、エクスポートと画像の保存で集める

WordPress の管理画面の「ツール」→「エクスポート」で、書き出しファイル(WXR という XML)を作れます。公式の文書では、次の物が入ると書かれています。

  • 投稿、固定ページ、カスタム投稿タイプ
  • コメント、カスタムフィールド
  • カテゴリー、タグ、カスタムタクソノミー
  • ユーザー
  • 「すべてのコンテンツ」を選ぶと、ナビゲーションメニューも

画像の本体が入るとは、書かれていません。画像は別に保存してください。また、この文書の最終更新は 2024-06-08 です。手元の画面とメニューの名前が違うことがあります。

古い URL から、新しい URL へ転送する

URL が変わるなら、古い URL から新しい URL へ、301 の転送を設定します。Google の文書は、サーバー側の恒久的な転送(301 や 308)を勧めています。転送は、できるだけ長く、一般には少なくとも 1 年残すよう書かれています。

Cloudflare Pages で公開する場合は、_redirects というファイルに 1 行ずつ書きます。書き方は [元] [先] [コード] です。コードを書かないと 302(一時的な転送)になるので、/旧 /新 301 と 301 まで書きます。

ドメイン・メール・解約は、別の記事で

乗り換えで一番事故が起きやすいのは、ドメインとメールです。順番を間違えると、メールが止まることがあります。

WordPress のまま安全に保つなら、何をする?

続けると決めたなら、次の 3 つを決めておきます。WordPress の公式の文書で確かめた範囲です。

自動更新

  • 本体の小さな更新(マイナーリリース)は、初期設定で自動です。公式の文書は、これを止めないよう勧めています。
  • 大きな更新は、新しく入れたサイトでは自動です。前から使っているサイトは、設定しないと自動になりません。
  • プラグインとテーマは、特別な場合だけ自動で更新されます。更新の確認は、自分か管理する人がします。

バックアップ

  • データベースとファイルの、両方が要ります。片方だけでは、サイトを元に戻せません。
  • 更新や引っ越しの前には、必ず取ります。
  • 記事の少ないサイトは、週に 1 回が目安と書かれています。
  • 3〜5 個の新しいバックアップを、別々の場所に置くよう書かれています。

PHP の更新

  • 上げる前にバックアップを取ります。
  • 上げた後は、サイトが正しく表示されるか確かめます。
  • 困ったときは、制作者・サーバー会社・テーマやプラグインの作者に聞くよう書かれています。

「全部は自分でできない」と感じたら、それが乗り換えを考えるきっかけの 1 つです。自分で直せないことを、恥ずかしがる必要はありません。

どちらにするか、決めたあとは?

続けるなら、上の 3 つを管理する人と決めてください。乗り換えるなら、まず名義とバックアップの確認からです。

私たちは、WordPress から静的なサイトへの作り直しを、モニター価格 5万円でお受けしています。毎月の管理費はありません(ドメイン代は別にかかります)。今のドメインを使えるかは、取った場所と日付で決まります(ドメインの記事)。ドメインの移管・メールの切り替え・旧サーバーの解約といった乗り換えの作業は、この 5万円に含みません。乗り換えないほうが合う場合は、そうお伝えします。条件と範囲はWordPress からの乗り換えのページに書いています。