定額のことで、お客さまは予約の前に何で迷うのか

個人の質問サイトには、次のような声があります。どれも 1 人ずつの投稿で、全体の傾向を示すものではありません。

  • 自宅サロンの店主から。ポータル経由のお客さまに、無料のお直しと全オフを求められて困った。回答には「オフは有料と事前に明示を」とありました。
  • お客さまから。初めてのネイルで、いくら持っていけばよいか分からない。オフは別料金のことが多い、という書き込みもありました。
  • お客さまから。定額の範囲を尋ねる質問。持ち込みデザインや高いパーツは別料金、という説明が付いていました。

お客さまは「総額が分からない」と感じ、店主は当日に言い出しにくい。行き違いの元は、予約の前に範囲が見えていないことのようです。

この記事は、範囲の表の書き方、価格の表示の公的な説明、見せる場所、当日の伝え方の順に書きます。

定額の範囲の表は、項目をどう並べるか

表は「入る物」と「入らない物」の 2 列にします。物の名前で書き、金額は店ごとに入れます。

定額に入る物(色の数、デザインの種類)と入らない物(持ち込みデザイン、パーツ、長さ出し、オフ、お直し)を 2 列に並べた表の項目
定額の範囲の表の並び。項目だけを示しています。
区分項目の例書き方
定額に入る色の数何色までか
定額に入るデザインの種類どのデザインから選べるか
入らない持ち込みデザイン別料金か、お断りか
入らないパーツどの大きさ・種類から別料金か
入らない長さ出し別料金と書く
入らないオフ別料金と書く
入らないお直し期間や条件を決めて書く

項目は例です。自分の店の定額に合わせて入れ替えてください。表の最後には「当日の追加が出る場合は、施術の前にお伝えします」と一文を添えます。

価格の表示には、どんな決まりがあるか

定額の金額を載せるなら、次の 2 つの公的な説明を知っておくと安心です。法的な判断はここではしません。

総額表示

国税庁は、総額表示義務を次のように説明しています。事業者が消費者にあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額を含めた価格を表示することを義務付けるものです。国税庁の説明では、店頭、チラシ、広告など、表示の媒体は問いません。

財務省の概要には、対象にインターネットのホームページや電子メールが挙がっています。同じ説明に、価格を表示していない場合まで表示を強制するものではない、とあります。

国税庁には、口頭で伝える価格は対象にならない、という説明もあります。ただし、口頭で伝えればよいという意味ではありません。この記事は、予約の前に、見える形で伝える方法を書いています。

財務省の質問集には、ホームページなどに「見積り例」を示す場合は、あらかじめ価格を表示することに当たるので注意、とあります。「このデザインなら、この金額」という例を載せるときの参考になります。

免税事業者の扱いなど、細かい点は上の財務省・国税庁のページに書かれています。自分の店がどうなるかは、税務署や税理士に確かめてください。

景品表示法の有利誤認

消費者庁の「表示規制の概要」は、有利誤認表示を、商品・サービスの価格その他の取引条件についての不当表示としています。内容は「取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」です。

定額の金額だけを大きく載せ、入らない物が見えないと、「この金額で全部できる」と受け取られるおそれがあります。当たるかどうかは個々の表示で決まるので、ここでは判断しません。範囲を金額の近くに書いておくことが、その心配を小さくします。

予約の前に、範囲をどこで見せるか

お客さまが予約を決める前に目に入る場所に、同じ表を置きます。

予約の前に定額の範囲を見せる 3 か所。Instagram のハイライト、予約ページ、公式ページ。予約の確認メッセージにも範囲を書く
見せる 3 か所と、予約の確認メッセージ。
  • Instagram のハイライト:「料金と範囲」の名前で、表を画像にして置く。投稿は流れますが、ハイライトは残ります。
  • 予約ページ:申し込みの画面の手前に、入らない物の一覧を置く。
  • 公式ページ:表を 1 か所にまとめ、ほかの場所からはそこへリンクする。

3 か所で書き方が食い違うと、それが行き違いの元になります。直すときは、公式ページの表を正として、ほかを合わせます。

予約の確認メッセージにも、範囲を書きます。予約から当日までに間が空くので、もう一度目に入れるためです。

確認メッセージの例:「定額に入らない物(持ち込みデザイン・パーツ・長さ出し・オフ・お直し)は別料金です。当日に追加が出る場合は、施術の前にお伝えします。」

当日、範囲を超えるときは、どう伝えるか

表を見せていても、当日に範囲を超えることはあります。伝える順番を決めておくと、気まずさが減ります。

当日に範囲を超えるときの流れ。確かめる、金額を伝える、同意をもらう、施術を始める。同意がなければ定額の範囲だけで進める
施術の前に伝え、同意をもらってから始める。
  1. 爪を見て、範囲を超える物があるかを確かめる。
  2. 何が別料金か、いくらかを、施術の前に伝える。
  3. お客さまの返事をもらう。
  4. 同意をもらってから始める。同意がなければ、定額の範囲だけで進める。

金額を施術の後に初めて言うと、お客さまは断る機会がありません。

この流れは、気まずさを減らすための店の決まりの例です。契約や返金など、法的な扱いの判断ではありません。

まず何から直すか

まず、定額の範囲の表を 1 枚作ります。次にハイライトと予約の確認メッセージを、その表に合わせます。

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