住所を出したくない気持ちと、先に分かっておきたいこと
自宅で開く店では、住所の出し方で手が止まる人がいます。個人のブログや質問サイトには「公共な場に自宅の住所を晒すのはちょっと抵抗ありますよね」「自分の情報を全てさらけ出さないと」といった声があります。
この記事では、次の 2 つを公式の文書で確かめた範囲だけ書きます。
- 特定商取引法(特商法)の、住所の表示のルール
- Google ビジネス プロフィール(Google マップに出る店の情報)の、住所の出し方
法的な判断は、この記事ではしません。「〜と説明しています」は、出典の言葉です。
自分の店が特商法の対象かどうかは、この記事では決まりません。専門家か、お住まいの地域の消費生活センターなどの窓口に確かめてください。
特商法で、住所の表示が要るのはどんなとき
消費者庁の特定商取引法ガイドは、通信販売を次のように説明しています。
「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと。」
同じページに、役務(サービス)の提供も入ることと、ホームページの広告を見てインターネットなどで申込みをする取引が書かれています。広告の表示事項には「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」が並んでいます(消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」、確認日 2026-11-03)。
つまり、ネットで広告して申込みを受ける形なら、住所が表示事項に入る、とガイドは説明しています。
予約だけで、代金はネットで受け取らない場合
施術や教室の予約だけを受けて、代金は当日に店で受け取る場合はどうでしょうか。読んだページの定義は「申込みを受ける」取引で、代金の受け取り方で分ける書き方は、見つかりませんでした。この場合に通信販売に当たるかどうかは、私たちには確かめられていません。
教室の中でも、語学教室や学習塾などは、別の制度(特定継続的役務提供)の対象になることがあります。こちらは ジムの体験の記事 で、範囲を書いています。
住所を省略できる条件を、原文のまま
消費者庁のQ&A(通信販売広告Q&A、Q17)は、住所と電話番号について、次のように説明しています。
「消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を『遅滞なく』提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に『遅滞なく』提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です。」
「遅滞なく」の意味も、同じQ&Aにあります。
「取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。」
(出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」、確認日 2026-11-03)
条件は 3 つに分けられます。
- 請求があれば書面や電子メールで提供する、と広告に表示する
- 実際に請求があったとき、すぐ出せる仕組みを作っておく
- 申込みを決める前に、十分な余裕をもって届くようにする
この記事を書く時点で、省略の表示にどんな文面が足りるのかは、読んだ範囲では確かめられていません。実際に載せる前に、窓口に見てもらってください。
Google ビジネス プロフィールで、住所を出さない設定
手順は、Google のヘルプにあります。「ビジネス プロフィール」から「プロフィールを編集」、「所在地」を選び、「ユーザーにビジネスの住所を表示する」をオフにして保存します。住所を非表示にすると、プロフィールにはサービス提供地域だけが表示される、と説明しています(ビジネス拠点の住所を管理する、確認日 2026-11-03)。
ただし、同じページに次の一文があります。
「住所を表示しないことを選択するのは、非店舗型ビジネスの場合のみにすることをおすすめします。」
非店舗型とハイブリッド型の意味は、別のヘルプにあります。
- 非店舗型:「客先に出向いてサービスや商品を提供し、ビジネス拠点の住所では接客しないビジネス」
- ハイブリッド型:「ビジネス拠点の住所で顧客にサービスを提供しているが、商品配達や出張サービスも行うビジネス」
(非店舗型ビジネスとハイブリッド型ビジネスのサービス提供地域を管理する、確認日 2026-11-03)
ガイドラインのヘルプには、ほかにも次の記述があります(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン、確認日 2026-11-03)。
- 「非店舗型ビジネスを運営している場合は、顧客に対して住所を非表示にする必要があります。」
- 「Google に住所を掲載する場合、その住所に、ビジネスの名称の掲示を常設する必要があります。」
- 「完全予約制のビジネスなどの場合は、営業時間を指定しないでください。」
来店客を迎える自宅サロンの場合、読んだページには「住所を出さずに来店客を迎える形でよい」と書いた文は、見つかりませんでした。看板を出さない自宅なら、住所を載せられない、とも読めます。どちらに当たるかは、ヘルプの原文か、Google のサポートで確かめてください。
ページでの出し方:公開する所と、予約後に知らせる所
ここからは、公式の決まりではなく、私たちの整理です。ページに出す情報を 2 つの段階に分ける案です。
| 段階 | 出す情報 |
|---|---|
| ページに出す | 地域(区・市)、最寄り駅、駅から徒歩何分 |
| 予約後に知らせる | 番地、建物名・部屋、目印、行き方 |
たとえば、ページには「住所はご予約後にお知らせ」と書き、番地を出さず、最寄り駅と徒歩何分までにして、詳しい住所は予約や体験の申し込みの後に伝える、という出し方です。
この出し方が、特商法の表示として足りるとは言っていません。通信販売に当たる場合は、前の節の省略の条件か、住所の表示かを、別に決める必要があります。
バーチャルオフィス・レンタル住所は使えるか
消費者庁のQ&A(Q18)は、個人事業者がバーチャルオフィスの住所と電話番号を表示してよいか、という問いに答えています。回答の書き出しは次のとおりです。
「『住所』については現に活動している住所、『電話番号』については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、」
続けて、一定の要件を満たす場合は、バーチャルオフィスなどの住所と電話番号を表示することでも要請を満たすと考えられる、と説明しています。バーチャルオフィスの場合の要件は、大要、次の 2 つです(プラットフォーム上の取引で、その事業者の住所を表示する場合は、別の要件が書かれています)。
- 住所と電話番号を連絡先に使うことを、個人事業者とバーチャルオフィスの事業者が合意していること
- バーチャルオフィスの事業者が、個人事業者の現住所と本人名義の電話番号を把握し、確実に連絡が取れること
さらに「ただし」として、事業者のいずれかが不誠実で、消費者と連絡が取れないなどの事態が起きれば、表示義務を果たしたことにはならない、と書いています。私書箱については、Q19が「住所」の表示をしたことにはならないと説明しています(通信販売広告Q&A、確認日 2026-11-03)。
自分の店のページ単体で、この要件に当たるかは、確かめられていません。また、Google のヘルプは「郵送先住所を借りており、その住所では実際にサービスを提供していない場合(バーチャル オフィスとも呼ばれます)は、ビジネス プロフィールをご利用いただくことはできません」と説明しています。
写真や地図から、場所が分かることもある
この節は、出典のない一般的な注意で、私たちの推測です。住所の文字を伏せても、次のものから場所が分かることがあります。
- 建物の外観や玄関まわりの写真
- 窓から見える景色
- ページに埋め込んだ地図
- 写真に付いた位置情報
公開する前に、第三者が見たらどこまで分かるか、一度ページを見直してみてください。
まず決めること
順番は、次のとおりです。
- 自分の店が、広告を見て申込みを受ける形かを整理する
- 通信販売に当たるか、窓口か専門家に確かめる
- 省略か表示かを決める(省略は、上の条件を満たしたうえで)
- Google の登録は、ヘルプの原文でどの型かを確かめる
- ページの段階(公開する所/予約後に知らせる所)を決める
住所の出し方を決めるところから、一緒に考えられます。新しいサイトの制作はモニター 5万円・月額なしです(ドメイン代は別)。ご相談は トップのお問い合わせ へ。